10月の旅する本/『あるシネマディクトの旅』池波正太郎

なんだか、正太郎先生とともに旅した気分です。

テレビの鬼平犯科帳は一番好きな時代劇でしたが、
実は彼の本は読んでいなくて。

でも深いファンが多いと聞くので、
こんなすごい先生が書いた旅行記は
素晴らしいんだろうな~と
とても期待して読んだのですが、


あるシネマディクトの旅 (文春文庫)

池波 正太郎 / 文藝春秋




私にとっては

非常に面白かったです072.gif

正太郎先生の3つのフランスへの旅が描かれています。
(最初は仕事がらみで訪れたようですが、
気に入ったこの地を
忙しい仕事をなんとか調整して
プライベートでも訪れているようです)

最初
 パリ、マルセイユ、ニース、リヨン、再びパリ、ノルマンディ、バルビゾン、ヴェルサイユ
続編
 パリ、バルビゾン、ヌムール、ブルゴーニュ、プロヴァンス、アルル、ニース、マルセイユ、マドリッド、トレド、 グラナダ、レ・ゼジー、ロアンヌ、パリ
新編
 パリ、オンゼン、ロワール河沿い、ブルターニュ、ノルマンディ、パリ

「シネマディクト」とありますが、
正太郎先生、大のフランス映画好きということで
随所にフランス映画の
シーンが表現されています。

彼の目を通して
描かれるふとした出来事や風景
通りがかった人が
まるで映画の中のワンシーンみたいに
そして登場人物のように見えてきます。


印象的な内容がたくさんあって、
どれも記憶に残したく、
こんなに付箋を貼って、マーキング。
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そして
ポリシーというほどではないまでも、
旅への潔い割り切り方も興味深く、
さすが~と感心してしまいます。

どこにいてもテンポを崩さず、

フランス語ができなくても
「なんとかなるものだ」と言いながら、
買い物したり、

ロマネスク建築の白眉だというが、
どうも私は、こういうものに興味がわいてこない。
また、見てもよくわからぬ。
私はただ、のんびりと町を歩いたり、
カフェのテラスで一杯やったりして
時を過ごすのが好きだ

などと言い、
人気スポットなども平気で素通りしたりする。

一方で、歴史状の人物に
こいつは、お人よしだったに違いない」とか
さらりと思いを馳せ、

泊まったホテルの料理は
「あまり旨くない」とぶった切る。
そして
「それもまた、この質朴なホテルらしくてよかった」と
粋なことを言う。

(時折、旅した当時のフランス模様や、
味のある日本語が使われていて、
それまた楽しくて、読み心地がよい)

旅の最初も終わりも
200年前から営業しているパリの居酒屋
BOFが舞台。
表紙のおやっさんはそこの主ではないかと。
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そこのおやっさんに会うことも目的の一つだった先生の旅。

フランス人の顔は、……ことに中年以上の男たちの顔は、
いずれも個性的で、みんな役者にしたいとおもうほどだ

と町の人を観察し、
自分の過去を重ねた給仕の少年に、
日本から持ってきたカレンダーを贈る。

人に興味を持ち、
人と温かく交わっていく正太郎先生の
描く小説が、とても読みたくなりました。

ところどころ挿絵があるのですが、
なんと、これ正太郎先生が描いたようです。
味があって、特に人物の描き方が好きです。
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ちょッとシュールなところに
ヨーロッパを感じました。


読んでいただきありがとうございます058.gif
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by x7nanax | 2013-10-11 23:19 | 夫人の本棚 | Trackback | Comments(0)